こんな本もある

雑駁一瞥近代日本文学史・8

8 新思潮派(新現実主義)★ ・時代はやや下り、大正〜昭和初期。 ・東大系の雑誌『新思潮』★がベース。理知的な作風。とにかくキーワードは「理知」。 ・代表者は芥川龍之介。あと菊池寛。昭和2年、芥川は自殺するが、これは文学史的には「大正の終わり」…

雑駁一瞥近代日本文学史・7

7 耽美派と白樺派★ 明治末から大正にかけての2つの動き。 自然主義★に対して、高踏派とはまた別のところから、2つの勢力が勢いを増してきます。上手いことをいう人がいるもので、この状況を、要するに「真・善・美」だ、と言い表せるそうです。 真=自然…

雑駁一瞥近代日本文学史・6

6 鷗外と漱石─高踏派(余裕派)★ ・明治40年代から大正の初期にかけて。 ・日本の「自然主義」が西欧の文学理論を曲解して、これが文学DA!と息巻いているとき、一方で、本当に西欧に留学し(しかもどちらも国家の施策として留学させられる。どんだけエリー…

雑駁一瞥近代日本文学史・5

5 自然主義★ 明治40年ごろから。 よくも悪くも「自然主義」は日本近代文学史の「柱」となります。これ以降の文学史は、自然主義との「距離感」を考えると捉えるとよりわかりやすくなります。もうはっきりいって、「自然主義」対「反自然主義」の歴史とい…

 雑駁一瞥近代日本文学史・4

4 浪漫主義★ 明治20〜40年ごろ。 欧米の思想の流入→「自我」の解放(封建的抑圧との対立)→情熱!→それが浪漫! …とつなげてみたものの、正直いって下に並べる作家たちを「浪漫」の一言でくくるのは、無理がある気がする。ロマンというが実は何だかわか…

 雑駁一瞥近代日本文学史・3

3 紅露時代(擬古典主義) ・新しもの好きの写実主義に対して、同じく明治20年代あたり、江戸文学や漢文学の影響を承けつつ、小説を書いた人たち。覚える(★)のは2人。 a 尾崎紅葉★ 文学結社「硯友社(けんゆうしゃ)」★を主宰。代表作は何といっても『…

雑駁一瞥近代日本文学史・2

2 写実主義 ・欧米の文学の潮流は「リアリズム」らしいよ! ・江戸時代の文学といえば上田秋成『雨月物語』も、曲亭馬琴(滝沢馬琴)の『南総里見八犬伝』も、荒唐無稽の虚構で、恥ずかしい! 世界に散らばった八つの玉を持つ「犬士」たちが集まって仇敵を…

雑駁一瞥近代日本文学史・1

高2国語の授業計画を作り始めています。来年度国語担当の諸先生とまだ連絡を密にとってはいない段階なので(最初にやる教材は決めてありますが)、暫定的なものですが、時間さえあれば、これは楽しい作業です。 さて、現代文は2学期に夏目漱石『こころ』、…

冲方丁『天地明察』

天地明察作者: 冲方丁出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2009/12/01メディア: 単行本購入: 28人 クリック: 758回この商品を含むブログ (405件) を見る 『告白』が挙げられたので、本屋大賞つながりでこの本を紹介。『天地明察』…

国語入試問題必勝法 (講談社文庫)作者: 清水義範出版社/メーカー: 講談社発売日: 1990/10/08メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 63回この商品を含むブログ (83件) を見る 授業で清水義範「現代語訳・江勢物語」を紹介しました。これが収録されている文庫本『…

こんな本もあるアルヨ←役割語

ヴァーチャル日本語 役割語の謎 (もっと知りたい!日本語)作者: 金水敏出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/01/28メディア: 単行本購入: 5人 クリック: 97回この商品を含むブログ (59件) を見る 今日の古典で紹介した本。なぜ作品のなかの博士たちは「○○じ…

現実入門―ほんとにみんなこんなことを? (光文社文庫)作者: 穂村弘出版社/メーカー: 光文社発売日: 2009/02/01メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 49回この商品を含むブログ (50件) を見る 穂村弘『現実入門』の文庫版が出ていることを知った。 歌人・穂村弘…

ホルモー六景作者: 万城目学出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2007/11メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 164回この商品を含むブログ (243件) を見る鴨川ホルモー (角川文庫)作者: 万城目学出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2009/02/2…

源氏物語の時代―一条天皇と后たちのものがたり (朝日選書 820)作者: 山本淳子出版社/メーカー: 朝日新聞社発売日: 2007/04/10メディア: 単行本購入: 4人 クリック: 72回この商品を含むブログ (29件) を見る山本淳子『源氏物語の時代―一条天皇と后たちのもの…

芥川つながりで、芥川賞作家の作品に触れたい。 なお、いうまでもないが芥川賞を創設したのは、芥川の旧友・菊池寛。純文学の登竜門として揺るぎない地位を占める名誉ある賞である。 芥川賞受賞者一覧を見ると、生き残ったり路線変更したり消えたり物故した…

河童 他二篇 (岩波文庫)作者: 芥川竜之介出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2003/10/17メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 5回この商品を含むブログ (21件) を見る古典を題材にした近代作品といえばまず芥川が浮かぶのであるが、 実は個人的には、あまり芥川…

枕草子REMIX (新潮文庫)作者: 酒井順子出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2007/01/30メディア: ペーパーバック購入: 2人 クリック: 15回この商品を含むブログ (31件) を見る更新したつもりがしてませんでした。 現代版「枕草子」ナビゲーター。

桃尻語訳 枕草子〈上〉 (河出文庫)作者: 橋本治出版社/メーカー: 河出書房新社発売日: 1998/04/01メディア: 文庫購入: 1人 クリック: 34回この商品を含むブログ (30件) を見る『伊勢物語』を現代読者にうまく蘇らせた書物はあまり多くは知らないが、『枕草子…

「キャラ」について先にちらりと触れました。90年代以降のアニメ・ゲーム・そしてのちにラノベと呼ばれていく種の小説が、「キャラクター」から<キャラ>へ、<物語>から<データベース>へと受容の形態を変えた読者に向けてつくられている点を指摘したの…

四畳半神話大系 (角川文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2008/03/25メディア: 文庫購入: 71人 クリック: 983回この商品を含むブログ (562件) を見る昨日紹介した森見登美彦『夜は短し歩けよ乙女』と同じモチーフだけれども(こちらの方…

夜は短し歩けよ乙女 (角川文庫)作者: 森見登美彦出版社/メーカー: 角川グループパブリッシング発売日: 2008/12/25メディア: 文庫購入: 84人 クリック: 1,493回この商品を含むブログ (719件) を見る かくして、私はなるべく彼女の目にとまるよう心がけてきた。…

キャラについて述べる本を紹介した。さて、キャラといえば、ライトノベル。中学生もすなるライトノベルといふものを、大人の私も読んでみようと思って何冊か読んでみた。そのなかでは、これが随一。涼宮ハルヒの憂鬱 ※表示されている表紙とは異なる場合がご…

男の子向けのアニメや特撮で、男性グループのなかに、1人ないし2人、女性のキャラがいるという現象が、なぜか共通している。 それはなぜか。そしてその現象のはらむ問題はどこにあるのか。そうした先鋭な問題意識を持ち、しかも読み物として無類におもしろ…

紅一点論―アニメ・特撮・伝記のヒロイン像 (ちくま文庫)作者: 斎藤美奈子出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2001/09/01メディア: 文庫購入: 5人 クリック: 49回この商品を含むブログ (87件) を見る斉藤美奈子『紅一点論』。 おすすめです(宇多丸調で)。