「キャラ」について先にちらりと触れました。90年代以降のアニメ・ゲーム・そしてのちにラノベと呼ばれていく種の小説が、「キャラクター」から<キャラ>へ、<物語>から<データベース>へと受容の形態を変えた読者に向けてつくられている点を指摘したのは、東浩紀動物化するポストモダン』(講談社現代新書)ですが*1、一方で私は、データベースといわれると、『伊勢物語』を取り上げてみたくなります。『伊勢』にはあらゆる恋のデータベースであるという側面があります。それを腑分けし、現代のアニメ・ゲーム・ラノベなどとのつながりと隔絶(むろん隔絶はあります)とを見いだしていくことは、なかなかおもしろいことだと思います。
とはいえ、まだ授業では『伊勢物語』には入っていません。そのうちやるので今回は予告編でございます。『伊勢物語』の字面の先の面白さについてナビゲーターになりそうな本…と探してみても、あまり良いものがありません。

導入的な本のなかでは、これが手に入りやすく面白いかな。まあ授業でやります。
もちろん可能なら『伊勢物語』そのものを読んでもよろしいが…。(角川文庫が入手容易)

*1:興味ある向きは一読してもよいでしょう。講談社現代新書は図書館に入っています。なに、難しいところは飛ばせばいいのだ。