本田由紀が日本の労働について、「「ジョブなきメンバーシップ」を原理とする正社員と、「メンバーシップなきジョブ」を原理とする非正社員という、二つの両極端な世界が併存」し、「正社員はジョブがないことによって過重な長時間労働を強いられ、非正規社員はメンバーシップがないことによって雇用の不安定さ、賃金の低さ、正社員の世界への参入の困難さに直面している」という見方を紹介しているのを読み(『教育の職業的意義』ちくま新書、2009)、うーむ、これは「である」ことと「する」ことの、最も不幸なかたちでの到達点、と読み解くこともできるな、と思う。丸山は、「である」と「する」との止揚を望んだ(祈った?)わけだが、止揚どころか、実際は、同一社会のなかで完全な分裂を起こす結果になってしまったわけだ。やんぬるかな。