湊かなえ『告白』

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)

 
 本当はもっと捻った本を紹介したいなとも考えたが、やっぱりこの本のラストシーンを読み終えた後の何ともいえない突き放されたような孤独感が頭から離れないので、この本を紹介しようと思う。「私の娘が死にました。警察は事故死と判断しましたが、娘は事故で死んだのではありません。このクラスの生徒に殺されたのです」こんな感じでストーリーが始まる。HIVウイルス、いじめ、あまりにも冷酷に計算された復讐・・・。そしてラストシーン、自分の手で母親の研究室に置かれた自作の爆弾のスイッチを押してしまい、体育館で泣き崩れる渡辺の元に携帯で話しながら悠子(先生)が近づいてくる――。「これから、あなたの更生の道が始まるのです。な〜んて」・・・。「な〜んてね」と言ったのは救いの一言なのか、それとも悪魔の一言なのか。どちらにせよ、読み終わった後味はあまりよろしくなかった。でも読む価値はありだと思う。【森】