アサウラ『ベン・トー』1〜6巻+5.5巻(スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

ベン・トー 1 サバの味噌煮290円 (スーパーダッシュ文庫)

 これは、一介の高校生・佐藤 洋(さとう よう)と幾多の狼との壮絶な闘いの記録である。(Sound Horizon


カッコよく言ってみたが、簡潔に言うと『半額弁当を取り合ってスーパーで殴り合いをする高校生たちの話』だ。しょーもない。


あらすじ:キッカケは些細なことだった。
スーパーに行くとちょうど半額弁当があった。ラッキー、とばかりに手を伸ばした直後に気を失い、精肉コーナーまで飛ばされていた。仕方なくおにぎりを手に取ろうとすると、同校の白粉 花(おしろい はな)と出会う。またその様子を見る一人の生徒の姿があった。後に知り合う先輩・槍水 仙(やりずい せん)である。
その後、学園で彼女を見つけた佐藤は、大人の事情により半額弁当奪取の集い『HP(ハーフプライサー)同好会』に入部することになってしまった。


特徴としてまず第一にあげられるのは、食いものに関する描写が異常に細かいことだろう。どこの世界にどん兵衛の描写に1ページくらい使う作家がいるだろうか、いやここにいた。しかも想像するとよだれが出そうになるくらいうまそうに書くのがまたすごい。

ここで忘れてはいけないのが、白粉が書いている『筋肉刑事(マッスルデカ)』である。


概要:斎藤刑事が毎回毎回ガチムチの漢達に囲まれてなんやかんやでアッー!!

何気にシリーズもの。コアな人気があり侮れない。
ときどき内容が垣間見えるが、読んでいると何故か尻の穴が痛くなる気がする不思議。
ちなみに、佐藤の身の回りに起きたことをベースにしていることが多い。

またセガサターン(以下SS)の存在も大きい。かなりの頻度でSSが登場する。
暇になったらとりあえずSS。幼馴染が来たらやっぱりSS。入院したって当然SS。
ここまでくると作者のSS愛が怖い。

そのほかにも、何かにつけて出てくる小学校の頃の友人・石岡君、おっさんになってもかめはめ波の練習をする父親など、一クセも二クセもある登場人物が暴れまわる様は読んでいて痛快だ。

ラノベと思って侮るなかれ。これ一冊で、腹が減ったりケツが痛くなったりする(気がする)お得感当社比1.5倍くらいの半額弁当物語、きっとコメディ多め。
読んでいただければ僥倖。【P.N. 門倉甲】