山田悠介『×ゲーム』(バツゲーム)

×ゲーム (幻冬舎文庫)

×ゲーム (幻冬舎文庫)

 この本は、小久保英明は小学校時代「×ゲーム」と称し、仲間4人で蕪木毬子をいじめ続けた。段ボール箱にクジを入れ、それを引いては書かれていたことを実行した。ある日、英明は×ゲームで蕪木にやむなく愛を告げる。12年後、突然彼らの前に現れて復讐するという物語だ。
 物語は英明視点だったが、蕪木の方が強烈なインパクトがあると思った。蕪木は可哀そうな境遇にいるが、行動が異常過ぎて感情移入できなかった。いじめに関わっていた英明が罪悪感を感じて悩むシーンがないのはリアルでよかった。しかし、プロローグとエピローグはなくてもいいかなと思った。本編中にエピローグの伏線がなくて、唐突で本編に上手く絡んでいないと思った。また、もう少し登場人物を掘り下げて感情をしっかり描いたほうがいいように感じた。だが、物語の展開は最後まで飽きずに楽しめて、読み出したら止まらなかった。
 読みやすくて面白いので暇な人は是非読んでみて下さい。また、今年の秋に映画化されます。【清水】