レマルク『西部戦線異常なし』

西部戦線異状なし (新潮文庫)

西部戦線異状なし (新潮文庫)

 「西部戦線異状なし」は、第1次世界大戦の経験をもとにレマルクが1929年に発表し、世界的な大ベストセラーとなった小説で、映画化もされている。戦争の過酷さをドイツ側から描いたもので反戦的な内容である。
 この作品では、ドイツ軍志願兵のパウル・ボイメルの視点から、激しい戦闘、負傷、帰郷といった様々なエピソードが述べられている。全体を通して印象的だったのは、ボイメルの様々な日常生活や戦争体験に関する所感で、兵士達の複雑な心情がよく伝わってくるものだと思った。どうして小説のタイトルが「西部戦線異状なし」なのか。それは、小説の最後を読んだらおわかりいただけると思う。この作品の映画バージョンでは、ボイメルの所感がない代わりに、内容が原作とは少し変更されていて、よりシンプルでわかりやすいものになっている。個人的には、映画と本の両方をお勧めする。【光源氏