コナン・ドイル『四つの署名』 ※ネタバレ注意

 シャーロック・ホームズシリーズ2作目の長編であるこの作品では、ホームズの鋭い観察力と推理力 が発揮されている。ワトスン博士の行動を推理したり、懐中時計を見てその持ち主の性格や習慣を推理したりする。これらの推理は細かい観察力、論理的な推理力、膨大な知識によって成り立ち、この3つは理想的な探偵として必要な条件であるとホームズは言っている。ホームズの観察力や推理力は 天性の才能のようなものでもあるが、知識を得るために地道な努力を重ねていることも伺える。
 さて、事件は若い婦人、モースタンによって持ち込まれた。モースタンは後にワトスン博士の妻となる。そこで彼女に高価な真珠を送る人物を探し出したが、その人物は既に殺されていた。現場には「 四つの署名」が記されていた。ここでの観察力、推理力にも驚嘆させられる。そして導き出した犯人、ジョナサン・スモールと小柄な男を追い、最後は見事に捕まえた。
 作中でホームズは「すべてのありえないことをとり捨ててゆけば、あとに残ったのが必ず真相でなければならない」と言っているが、この言葉が最も印象に残り、また感心させられた。【東】