※ややネタバレ注意!

カラフル (文春文庫)

カラフル (文春文庫)

(映画を見た訳ではなく、ちゃんと本を読みました。)
 この小説はとても読みやすく、小説が苦手な私もたったの一日で読むことができた。本の内容をざっと説明すると、前世で罪を犯した主人公の魂は天使の抽選に当選し、小林真という自殺を図って危篤状態の中三の少年の体に入り人生を再挑戦する権利を得る。これだけ書くと一見ファンタジーなのかな?と思う人もいるかも知れないが、読み進めていくと人生にはものすごく色々な色があって、だからこそ中高生の私たちにはとても生きにくいものなんだな、と感じさせられる話だった。私がとても印象に残ったシーンがある。実は小林真が自殺を図った理由の大きな部分を占めているのが彼の家族であった。それを知った主人公は家族につらくあたる。しかし次第に家族の温かさに気づきショックを受けるシーンだ。彼は、満(兄)の声を死んだ真に聞かせてやりたかった……と言って泣く。事の真相も知らずに一人で傷ついて自殺に至ってしまった小林真は本当に愚かでやるせないなと私は思った。この小説は読者に困難なこの世界で生きていくヒントをくれる。だからこそ私はこの小説を、たくさんの悩みを抱え始める中高生にぜひ読んでもらいたいと思う。【篠田】